自然の周期：ナイサルギカ・ダシャー

自然の周期：ナイサルギカ・ダシャー

惑星の周期

生まれた瞬間から始まる惑星の周期、ナイサルギカ・ダシャーについて説明します。これは月の位置や星座、他のダシャーとは関係なく、すべての人に共通の周期です。この周期は、人が生まれたそのときから始まり、その後生涯にわたって続いていきます。各惑星にはそれぞれ特定の期間が割り当てられており、その期間はその惑星の支配下に置かれます。人生における様々な出来事や経験は、この惑星の周期の影響を受けると考えられています。

まず、生まれたばかりの時期、生後１年間は月の支配下にあります。月は柔らかく、感情的な性質を持つため、この時期は感受性が豊かで、周囲の環境に大きく影響を受けやすい時期と言えるでしょう。

月の後、２年間は火星の支配を受けます。火星は活動的でエネルギッシュな惑星です。この時期は行動力が高まり、新しいことに挑戦する意欲が湧いてきます。

火星に続く９年間は、水星の支配です。水星は知性とコミュニケーションを司る惑星です。この時期は学習意欲が高まり、知識や技能を吸収しやすい時期と言えるでしょう。特にこの時期の学びは、その後の人生に大きな影響を与えるでしょう。

水星の後は、２０年間もの長い間、金星の支配下に置かれます。金星は愛と美、そして喜びを象徴する惑星です。この時期は人間関係が豊かになり、愛情や友情を育むのに最適な時期です。芸術や文化への関心も高まるでしょう。

金星の後は、１８年間、木星の支配を受けます。木星は成長と拡大、そして幸運を司る惑星です。この時期は精神的な成長が促され、視野が広がります。幸運にも恵まれやすい時期です。

木星の次は、再び２０年間、太陽の支配です。太陽は生命力と自信、そして自己表現を象徴する惑星です。この時期は自分の個性や才能を輝かせ、周囲を引っ張っていくリーダーシップを発揮する時期となるでしょう。

そして最後に、５０年間という長い期間、土星の支配を受けます。土星は責任と規律、そして忍耐を象徴する惑星です。この時期は人生の集大成として、これまでの経験を活かし、責任ある立場を担うことが求められます。深い洞察力と忍耐力を身につけることで、大きな成果を上げることができるでしょう。

月の影響

人生最初の段階を占星術ではナイサルギカ・ダシャーと呼び、その最初の１年間は月の支配下にあります。月は心の動きや感じやすさ、そして精神状態全体を左右する天体です。この時期は、いわば感情の土台を作る大切な時であり、幼い頃の体験や周りの環境に大きく左右されます。この時期にどのように育てられたか、どのような出来事を経験したかは、その人の心の安定や人との関わり方に影響を及ぼす可能性があります。良い環境で愛情をたっぷり受けて育った子供は、情緒が安定し、人と良い関係を築ける大人に成長しやすいでしょう。反対に、この時期に辛い経験をした子供は、大人になってからも精神的に不安定になりやすく、人間関係に苦労する可能性があります。月はまた、母親を象徴する星でもあります。この時期は母親との関係が特に重要になります。母親との触れ合いの中で、子供は愛情や安心感を感じ、情緒が安定していきます。この時期に母親との絆がしっかりと築かれると、子供は将来、他の人とも良好な関係を築けるようになるでしょう。母親との関係は、その人の将来の母親像にも影響を与えます。愛情深く接してくれた母親の姿は、将来自分が母親になった時の模範となるでしょう。また、この時期の母親との関係は、将来恋人や友人など、親しい人との関係の築き方にも影響を与える可能性があります。良好な関係を築けた子供は、大人になってからも信頼できる人と安定した関係を築きやすいため、この時期の母親との関係はその人の人生全体に大きな影響を与えると言えるでしょう。生まれてから１年間は、周囲の環境、特に母親との関係が、その人の感情や心の成長に大きな影響を与える大切な時期なのです。

火星の影響

人の一生における月の周期のあとには、火星の周期が二年続きます。月は感情や感受性を育む大切な時期ですが、それに続く火星の影響を受ける時期は、力強さと行動を象徴する時期と言えるでしょう。まるで燃え盛る炎のように、火星はこの時期の人々に活力を与え、自らの意思を貫き、新たな挑戦へと駆り立てるのです。

この時期に芽生える行動力は、人生を切り開く原動力となります。情熱の炎は、目標達成への強い意志を支え、どんな困難にも立ち向かう勇気を与えてくれます。まるで内なる炎が燃え上がるように、人々は積極的に行動し、自らの力で道を切り開こうとするでしょう。

この時期の経験は、自立心や競争心、そして指導力を育む上で非常に重要です。困難に立ち向かい、乗り越えることで、人は自信を深め、自らの力で未来を切り開く力を身につけていくのです。また、競争の中で切磋琢磨することで、成長を促し、より高い目標を目指そうとする意欲を高めます。そして、人々を導き、鼓舞する指導力は、この時期の経験を通して磨かれていくでしょう。

しかし、火星は時に争いも象徴するため、注意が必要です。燃え盛る炎は、時に周囲を焼き尽くす激しい炎となることもあります。感情の制御が難しくなり、衝動的な行動や争いに巻き込まれる可能性も高まります。この時期は、まるで荒波にもまれる小舟のように、感情の波に乗りこなし、冷静さを保つことが重要です。

この時期に適切な導きや学びがあれば、火星の持つエネルギーを良い方向へ導き、社会性を育むことができます。周りの人からの支えや助言は、まるで羅針盤のように、人々を正しい方向へ導いてくれるでしょう。経験豊富な指導者からの教えは、火星のエネルギーを建設的に活用するための知恵を与え、社会の中で調和して生きていくための大切な学びとなるでしょう。

水星と知性

人生における成長段階を星々の動きと重ね合わせる占星術では、人の一生を様々な天体の影響下にある期間に分けます。誕生から最初の二年間は情熱と行動力を象徴する火星の影響を受けますが、続く九年間は知性とコミュニケーションを司る水星が支配する重要な時期となります。この時期は、まるで白い画用紙に色鮮やかな絵の具で描くように、個人の知的能力が大きく花開く時です。

水星は知性の星であり、思考力、学習能力、そして表現力を象徴します。この時期の子どもたちは、学校教育や日常生活を通して、まるでスポンジのように様々な知識や技能を吸収していきます。文字の読み書き、計算、そして周りの世界についての理解など、この時期の学習経験は、その後の知的成長の土台を築く上で非常に大切です。小学校での学びや、友達との遊び、家族との会話など、あらゆる経験が知性を育む栄養となります。

水星はまた、コミュニケーションを司る星でもあります。言葉による表現力だけでなく、周りの人々と円滑な人間関係を築くためのコミュニケーション能力もこの時期に大きく育まれます。友達との会話、先生とのやり取り、家族との触れ合いを通して、子どもたちは自分の考えや気持ちを表現する方法を学び、他者の感情を理解する力を養います。この時期に築かれる良好な人間関係は、将来の社会生活におけるコミュニケーション能力の基盤となります。

さらに、水星は情報を処理し伝達する能力も象徴します。この時期の子どもたちは、様々な情報に触れ、それを整理し、理解し、そして自分なりに表現する能力を磨いていきます。読書、学習、そして人々との交流を通して得た情報を処理し、新たな知識へと変換していく力は、将来における問題解決能力にも繋がっていきます。この時期の多様な経験と学習は、子どもたちの知性を豊かに育み、将来の可能性を広げるための大切な種まきとなります。

金星と人間関係

人生における様々な段階の中で、およそ二十歳から四十歳までの二十年間は金星の力が強く影響する時期と言われています。これは、物事を理解し学ぶための準備期間である水星の時期（十歳から二十歳頃まで）に続く、人間関係を育み、愛や美意識を深めるための大切な段階です。

金星は、愛と美、そして調和を象徴する星です。この時期に私たちは、様々な人との出会いを経験し、深い愛情や友情を育む機会に恵まれます。恋人や親友、家族や仕事仲間など、多様な人間関係を通じて、喜びや悲しみ、信頼や裏切りなど、様々な感情を経験することで、人との関わり方や相手を思いやる心を学びます。これらの経験は、私たちの恋愛観や結婚観、ひいては対人関係における価値観の形成に大きな影響を与え、その後の人生における人間関係の基盤を築きます。

また、金星は芸術や美意識も象徴します。この時期は、芸術的な活動に親しみ、創造性を育むのに最適な時期です。音楽や絵画、演劇やダンスなど、様々な芸術に触れることで、私たちの感性はより豊かになり、美的感覚が磨かれます。自分自身で何かを創造する喜びを体験することも、豊かな感受性を育む上で大切な経験となるでしょう。

さらに、金星の影響下にあるこの時期は、人間関係における調和を大切にすることを学びます。人それぞれ異なる価値観や考え方を持つ中で、互いを尊重し、協力し合うことの大切さを理解し、良好な人間関係を築くためのコミュニケーション能力を高めることができるでしょう。このように、金星の時期は、私たちが人間として成長し、より豊かな人生を送るために欠かせない、貴重な学びの時期と言えるでしょう。

木星と成長

人生における惑星の巡りの中で、金星の優美な２０年間の支配が過ぎ去ると、いよいよ木星が１８年間もの長きにわたり私たちを導く時期を迎えます。夜空に輝く堂々とした木星は、まさに成長、発展、そして幸運を象徴する星です。この期間は、まるで種から芽吹き、大樹へと成長していくように、私たち一人ひとりが社会の中で自分の居場所を築き、自分自身を最大限に表現していくための大切な時間となります。

この時期に得られる経験は、まるで人生の羅針盤のように、私たちの将来の進路や人生の目標設定に大きな影響を与えます。木星が司る拡大と発展というキーワードは、この時期に知識や経験を深め、視野を広げることがいかに重要であるかを教えてくれます。まるでスポンジが水を吸収するように、あらゆる物事を学び、新たな挑戦に果敢に立ち向かうことで、私たちは大きく成長し、人として大きく羽ばたいていくことができるのです。

さらに、木星は幸運の星としても知られています。この時期は、様々なチャンスがまるで贈り物のように舞い込んでくるでしょう。その幸運の波に乗り、目標達成に向けて力強く前進していくことができるはずです。まるで追い風が背中を押してくれるように、物事がスムーズに進み、成功への道が開かれていくのを感じるでしょう。木星の導きのもと、私たちは自身の可能性を最大限に開花させ、豊かな人生を築き上げていくことができるのです。

太陽と土星の影響

人生における大きな転換期は、まず木星の影響下で１８年間を過ごした後、太陽の支配を受けます。この期間は２０年間続き、自己表現や創造性を存分に発揮する時です。まるで太陽が空高く輝くように、内なる活力が湧き上がり、自分らしさを外の世界に示したくなります。持てる才能を活かして社会に貢献することで、大きな喜びを感じ、自分自身を肯定できるようになるでしょう。また、この時期は人生の目的や進むべき道を考える、大切な自己探求の期間でもあります。自分らしい生き方を探し、確立していくことで、人生の土台を築き上げていくのです。

その後、人生の後半５０年間は、土星の支配が始まります。土星は規律や責任、そして忍耐を象徴する星であり、これまでの人生で培ってきた経験を基に、集大成を迎える時期と言えるでしょう。土星は試練を与える星でもあるため、様々な困難に直面するかもしれません。しかし、これらの試練は成長の糧となります。忍耐強く努力を重ね、乗り越えることで、精神的に大きく成長し、揺るぎない価値観を築くことができるでしょう。そして、後世に残るような大きな成果を成し遂げ、人生の真の豊かさを実感できるはずです。この５０年間は、人生における晩年期にあたりますが、決して衰退期ではなく、成熟と達成の時期と言えるでしょう。これまでの経験を活かし、知恵を深め、社会や次世代へと繋いでいく、重要な役割を担うことになるのです。