デカン：星座の３つの顔

デカン：星座の３つの顔

デカンとは

西洋占星術では、人は生まれた時の惑星の配置によって、性格や運命がある程度決められていると考えられています。生まれた時に太陽が位置していた星座を「太陽星座」と呼びますが、同じ星座でも、人によって性格が微妙に異なるのはなぜでしょうか。その理由の一つとして、「デカン」という考え方があります。デカンとは、それぞれの星座をさらに３つの区間に分けたものです。

星座はそれぞれ３０度ずつ空の領域を占めています。この３０度を１０度ずつ、３等分したものがデカンです。つまり、１つの星座の中に３つのデカンが存在することになります。

例えば、牡羊座生まれの人は、一般的に活動的で情熱的だと言われています。しかし、牡羊座の最初のデカン（牡羊座０度～９度）に太陽がある人は、純粋な牡羊座的性質が強く、先駆者としての気質が特に際立ちます。２番目のデカン（牡羊座１０度～１９度）に太陽がある人は、獅子座的な性質も加わり、リーダーシップや創造性が発揮されやすくなります。３番目のデカン（牡羊座２０度～２９度）に太陽がある人は、射手座の影響を受けて、自由を愛し、冒険心に富んだ性格となるでしょう。このように、同じ星座でも、どのデカンに太陽があるかによって、性格や運命に違いが出てくるのです。

デカンは、太陽星座だけでなく、月やその他の惑星にも適用されます。自分の出生図を確認し、それぞれの惑星のデカンを調べることで、より深く自分自身や他人を理解する手がかりとなります。占星術を学ぶ上で、デカンは基本でありながら、奥深い要素なのです。

第一デカン

第一デカンとは、黄道十二宮それぞれの星座をさらに三分割した最初の１０度を指します。星座の始まりを意味するこの１０度は、その星座のもつ純粋な力を最も強く表す場所です。誕生日に対応する星座が位置する場所が、この第一デカンに当たる人は、その星座が持つ根源的な性質を色濃く反映していると言えます。

例えば、活動宮の星座である牡羊座を例に考えてみましょう。牡羊座は熱意にあふれ、行動力があり、常に新しいことに挑戦していく星座です。この牡羊座の第一デカンに生まれた人は、これらの性質をストレートに表現する傾向があります。新しいことを始める力や他の人を導いていく力に恵まれ、まさに牡羊座の性質を体現していると言えるでしょう。同じく活動宮に属する蟹座、天秤座、山羊座も第一デカン生まれの人は、それぞれの星座の性質を強く持っています。蟹座であれば、共感力や母性本能にあふれ、天秤座であれば社交性と調和を重んじる性質、山羊座であれば責任感の強さと勤勉さが際立ちます。

第一デカンは、純粋なエネルギーを持つため、その星座の長所と短所がより顕著に現れやすいとも言えます。牡羊座の例で言えば、行動力や情熱にあふれる反面、衝動的な行動や短気な一面も目立ちやすくなります。しかし、新しい物事の始まりを象徴する第一デカン生まれの人は、物事を始める力や先駆者となる精神にあふれています。自分の星座の特徴を理解し、その強みを活かすことで、人生を切り開くパイオニアとして活躍できるでしょう。誕生日の星座がどのデカンに位置するのかを知ることで、自分自身の性質への理解がさらに深まります。

第二デカン

星座をさらに細かく見ていくと、デカンと呼ばれる区分に分けられます。それぞれの星座は３０度の範囲を持ちますが、これを１０度ずつ、三つのデカンに分割するのです。その中で、第二デカンは１１度から２０度までの範囲を指します。

第一デカンでは、その星座が持つ純粋なエネルギーがそのまま現れます。例えるなら、生まれたばかりの赤ん坊のような、飾らない素直な状態です。しかし、第二デカンでは、この初期的エネルギーが成長し、洗練されていきます。赤ん坊が言葉を覚え、周りの世界を理解し始めるように、より複雑で多様な表現を見せるようになるのです。

同じ星座であっても、生まれたデカンが異なると、その人の性質や行動に違いが現れます。例えば、情熱的で行動力のある牡羊座を考えてみましょう。第一デカンの牡羊座の人は、本能のままに突き進む傾向があります。しかし、第二デカンの牡羊座の人は、牡羊座本来の情熱を失うことなく、より計画的で、長期的な視点を持つようになります。衝動的に行動するのではなく、目標達成のために戦略を練り、粘り強く努力することができるのです。

また、第二デカンは内省の時期でもあります。自分自身と深く向き合い、成長を促すための学びを得る時期と言えるでしょう。自分自身をよく理解することで、第一デカンで芽生えた個性をさらに発展させ、より成熟した形で表現できるようになるのです。これは、まるでじっくりと時間をかけて熟成されたワインのように、深みと奥行きが増していく過程と言えるでしょう。

第三デカン

星座をさらに細かく見ていくと、１０度ずつ３つの区間に分けられます。これをデカンと呼び、第一デカン、第二デカン、そして第三デカンと呼びます。それぞれのデカンは、星座のエネルギーが段階的に展開していく様子を表しています。第三デカンは、２１度から３０度までの最後の１０度を占める、いわば星座の最終章です。この段階では、星座のエネルギーは完成形へと近づき、次の星座へとつながる準備段階に入ります。

最初の１０度である第一デカンでは、星座の純粋なエネルギーが芽生えます。次の１０度である第二デカンでは、そのエネルギーを現実世界で試行錯誤しながら表現しようとします。そして最後の１０度である第三デカンでは、第一デカンと第二デカンで培ってきた経験を統合し、新たな視点や知恵を獲得します。これまでの学びを踏まえ、より成熟した形で星座のエネルギーを表現できるようになるのです。

例えば、牡羊座の第三デカンに生まれた人は、牡羊座本来のエネルギーである行動力や情熱に加えて、次の星座である牡牛座の要素も持ち合わせていると考えられます。牡牛座は、堅実さや五感を大切にする星座です。そのため、牡羊座の第三デカンの人は、牡羊座の情熱的なエネルギーを、牡牛座の現実的な視点で調整し、具体的な形にしていくことができるでしょう。これは、次の段階への橋渡し的存在であり、成熟と完成を象徴しています。

第三デカンは、これまでの経験を土台に、未来への展望を持ち、次のステージへと進むための準備をする時期と言えるでしょう。完成形へと近づいたエネルギーは、次の星座へとスムーズに移行していくための、大切な準備段階なのです。

デカンと副支配星

西洋占星術では、星座をさらに小さな単位である「デカン」に分割することで、より深く個性を分析することができます。それぞれの星座は３０度で構成されており、これを１０度ずつ、３つのデカンに分けます。各デカンは、同じ属性（火、地、風、水）を持つ星座によって副支配されています。この副支配星が、各デカンに独特な特色を与えているのです。例えば、活動宮の火の星座である牡羊座を考えてみましょう。牡羊座の第一デカン（０度～９度）は、牡羊座自身によって副支配されます。これは、純粋な牡羊座のエネルギー、つまり強い意志、行動力、そして開拓精神を意味します。このデカンに星を持つ人は、まさに牡羊座の典型と言えるでしょう。

第二デカン（１０度～１９度）は、不動宮の火の星座である獅子座によって副支配されます。獅子座のキーワードは創造性、表現力、そしてカリスマ性です。そのため、このデカンに星を持つ牡羊座の人は、単に行動的なだけでなく、自分の個性を表現することに喜びを感じ、周囲を惹きつける魅力を持つでしょう。リーダーシップを発揮する場面で特に力を発揮するタイプです。

そして第三デカン（２０度～２９度）は、柔軟宮の火の星座である射手座によって副支配されます。射手座は知性、探求心、そして冒険心を象徴する星座です。このデカンに星を持つ牡羊座の人は、知的好奇心が旺盛で、常に新しい知識や経験を求める傾向があります。哲学的な思考や異文化への関心も高く、旅や学習を通して成長していくことを望むでしょう。このように、副支配星を理解することで、同じ牡羊座でも、デカンによって個性が微妙に異なることがわかります。自分の出生図で、どのデカンに星があるのかを知ることで、より深く自分自身を理解する手がかりとなるでしょう。

デカンを活用する

西洋占星術では、生まれた星座をさらに３つに分けたものをデカンと呼びます。これは、自分の生まれ持った性質をより深く掘り下げて理解するための、重要な手がかりとなります。例えば、あなたは牡羊座生まれだとしても、同じ牡羊座の中でも、生まれた日によって所属するデカンが異なり、性格や行動の傾向に微妙な違いが現れます。

自分の星座のどのデカンに属するのかを知ることで、自分の長所や短所、そして人生における目標をより明確に捉えることができます。牡羊座の最初のデカンに属する人は、純粋な情熱と行動力を持ち、新しいことに挑む勇気に満ち溢れています。一方、二番目のデカンに属する人は、リーダーシップを発揮し、周りを巻き込みながら目標達成へと突き進む力強さを持っています。そして三番目のデカンに属する人は、独立心が強く、独自の道を切り開く才能に恵まれています。このように、同じ牡羊座でも、デカンによって異なる個性が輝いているのです。

また、デカンは人間関係をより豊かにするヒントも与えてくれます。相手のデカンを知ることで、その人の考え方や行動パターンを理解しやすくなり、円滑な人間関係を築く助けとなります。例えば、相手のデカンを知ることで、その人がどのような言葉で励まされ、どのような行動で安心感を得るのかを推測することができます。それは、より深いコミュニケーションを育み、相互理解を深めるための、大切な手がかりとなります。

このように、デカンはまるで宝石箱に隠された宝のようです。その輝きを理解し、活用することで、自分自身と周りの人々を深く知り、より豊かな人生を創造していくことができるでしょう。