地方平均時

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天文学

地方平均時と真太陽時

地方平均時とは、ある地点での時刻を示す方法です。これは、空における太陽の位置を基準に計算されます。太陽は毎日東から昇り西へ沈みますが、毎日同じ時刻に同じ場所に来るわけではありません。地球が太陽の周りを回る道筋は真円ではなく、少し楕円形を描いているため、太陽の動きは一定ではないのです。太陽の実際の位置に基づいた時刻を真太陽時と呼びます。しかし、時計を毎日変化する真太陽時に合わせるのは不便です。そこで、一定の速さで動く仮想的な太陽を考え、この太陽に基づいた時刻を平均太陽時と定めました。平均太陽時は、真太陽時と比べると変動が少なく、時計に合わせる基準として利用しやすい時刻です。地方平均時は、この平均太陽時をそれぞれの場所の経度に合わせて修正したものです。地球は球形で、太陽の光が当たる場所は常に変化しています。そのため、同じ平均太陽時でも、場所によって時刻は異なります。地球は360度の経度で分けられており、経度が15度変わるごとに、時刻は1時間ずつずれます。例えば、東京の経度は東経135度、大阪の経度は東経135度なので、両都市の地方平均時は同じです。しかし、ロンドンの経度は0度なので、東京とは経度が135度違います。つまり、東京とロンドンでは、地方平均時が9時間ずれていることになります。かつては、この地方平均時が時計の基準として広く使われていました。しかし、現代社会では、世界規模での時刻の統一が重要になってきました。そのため、現在では世界協定時(UTC)を基準とした時刻表示が主流となっています。世界協定時は、イギリスのグリニッジ天文台を基準とした時刻で、世界中で共通の時刻システムとして使われています。
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