記号 衰退する星座の概念
星々の配置から人の運命や性格を読み解こうとする占星術は、長い歴史の中で様々な解釈を生み出してきました。中でも、特定の星座を「弱い」とみなす見方は、古くから存在していました。その代表的な例として挙げられるのが、かに座、やぎ座、うお座です。かに座は水の星座に属し、感情の起伏が激しく、周りの影響を受けやすいとされています。まるで海辺の砂のように、波が来れば流され、形を変えてしまう様子に例えられます。古代の占星術師たちは、このような性質を持つかに座生まれの人々は、心の揺れ動きに翻弄されやすく、確固たる意志を保つのが難しいと考えていました。やぎ座は地の星座であり、堅実で努力家というイメージが強い一方、物事を悲観的に捉えやすい一面も持っているとされていました。大地に深く根を張る樹木のように、一度悪い方向へ考えが向くと、なかなか抜け出せない様子に例えられます。そのため、困難に直面した際に、くじけやすく、諦めてしまう傾向があると解釈されていました。うお座も水の星座に属し、感受性が豊かで、夢想的な性質を持っています。まるで深い海の底を漂う魚のように、現実世界から離れ、空想の世界に没頭しやすいとされていました。古代の占星術師たちは、このようなうお座生まれの人々は、現実逃避に走りやすく、地に足をつけて生きるのが難しいと考えていました。現代社会では、これらの星座を「弱い」と決めつける見方は、偏っていると言えます。それぞれの星座には、良い面も悪い面もあり、人の性格は星座だけで決まるものではありません。しかし、古代の人々がそれぞれの星座にどのようなイメージを持ち、どう解釈していたのかを知ることは、占星術の歴史を理解する上で重要な意味を持ちます。
