天文学 恒星時:宇宙のリズム
はるかな宇宙に輝く星々を基準にして、時の流れを測る方法を恒星時といいます。私たちが普段使っている時計は、太陽の動きをもとにした太陽時です。地球は太陽の周りを一年かけて回りながら、同時に自身もくるくると回っています。この二つの回転運動が、恒星時と太陽時の違いを生み出しています。地球が自分で一回転する時間を考えてみましょう。太陽を基準にした場合、空のある一点に太陽が見えた日から、再び同じ場所に太陽が見えるまでが一日、つまり二十四時間です。これが太陽時です。しかし、遠い宇宙の星々を基準にすると、地球が一回転するのにかかる時間は太陽時よりも少し短くなります。これは、地球が太陽の周りを回る間に、星々の位置もわずかにずれて見えるためです。恒星時の一日は、太陽時の一日よりも約四分短いのです。天文学や占星術の世界では、この恒星時が欠かせません。例えば、遠い天体観測を行う際、望遠鏡を正確に向けるためには、星々の位置を精密に把握する必要があります。このとき、基準となるのが恒星時です。また、生まれた時刻の星の配置から運命を占う占星術においても、より正確な天体の位置を知るために恒星時が用いられます。恒星時は、いわば宇宙のリズムを刻む時計であり、私たちが普段意識することは少ないものの、宇宙の探求や神秘に触れるためには、なくてはならないものなのです。
