アフリクト：惑星の苦悩

アフリクト：惑星の苦悩

困難な配置

人は夜空に輝く星々の配置に、自らの運命を読み解こうとしてきました。星詠み、すなわち西洋占星術の世界では、天体の位置関係が人の人生に様々な影響を及ぼすと考えられています。なかでも「困難な配置」と呼ばれる特定の星の並びは、試練や困難を示唆するサインとして知られています。

この「困難な配置」とは、ある惑星が「アフリクト」された状態を指します。これは、他の惑星との位置関係が悪く、不調和な角度を成している状態です。まるで星々が互いに反発しあい、その惑星の力を弱めているかのようです。

例えば、人と人との繋がりを象徴する水星がアフリクトされているとしましょう。水星は言葉やコミュニケーションをつかさどる星です。この星が困難な配置にあると、伝えたいことがうまく伝わらなかったり、誤解が生じやすくなったりするかもしれません。大切な人との関係に溝が生じ、孤独を感じやすくなる可能性も考えられます。

また、喜びや愛情、そして豊かさを象徴する金星がアフリクトされている場合はどうでしょうか。金星は愛と美の女神、ヴィーナスに由来する星です。この星が困難な配置にあると、恋愛関係が不安定になったり、金銭的なトラブルに見舞われたりするかもしれません。ときには、芸術的な才能が抑制され、創造的な活動に喜びを感じにくくなる可能性もあるでしょう。

このように、どの惑星がアフリクトされているかによって、人生のどの領域に困難が生じるかが変わってきます。しかし、「困難な配置」は必ずしも悪いことばかりではありません。試練を乗り越えることで、人は大きく成長することができます。困難な配置は、私たちが自らの弱さと向き合い、真の強さを手に入れるための、宇宙からの贈り物なのかもしれません。

不調和な角度

星々の配置を読み解く占星術において、天体同士が織りなす角度は、人の運命や性質を紐解く重要な鍵となります。この角度は、調和と不調和の二つの側面を持ち、人の人生に様々な影響を与えます。今回は、不調和な角度、いわゆる「アフリクト」と呼ばれる配置について詳しく見ていきましょう。アスペクトは、天体同士が特定の角度を成す時の配置のことを指し、中でも不調和なアスペクトは、葛藤や困難を示唆するものです。代表的なものとしては、スクエア（90度）、オポジション（180度）、セミスクエア（45度）、セスキコードレート（135度）などがあります。これらの角度は、天体から放たれるエネルギーがぶつかり合い、緊張感や摩擦を生み出すとされています。

例えば、太陽と火星が90度の角度で配置されるスクエアの場合を考えてみましょう。太陽は生命力や自我を象徴し、火星は行動力や情熱を司ります。これらの天体がスクエアを形成すると、その人の内側に、衝動的な行動や激しい感情が渦巻く傾向が見られます。普段は温厚な人でも、些細なことでカッとなりやすく、対人関係で衝突を起こしてしまうかもしれません。また、月と土星が180度の角度で配置されるオポジションも、心の葛藤を生みやすい配置です。月は感情や感受性を、土星は制限や試練を表します。この二つの天体が対峙すると、感情が抑圧され、気分が落ち込みやすくなります。物事を悲観的に捉えがちになり、憂鬱な気分に苛まれることもあるでしょう。

しかし、不調和なアスペクトは必ずしも悪い影響ばかりではありません。これらの角度は、困難や試練を乗り越えるための強い力を秘めているとも言えます。スクエアは、困難に立ち向かう勇気を与え、オポジションは、相反する二つの力を統合する知恵を授けてくれるのです。これらのアスペクトを理解することで、自分自身の課題や成長のポイントを把握し、より豊かな人生を歩むことができるでしょう。

凶星の影響

星占いにおいて、時に試練をもたらす星のことを、一般的に「凶星」と呼びます。これらの星は、必ずしも悪い影響ばかり及ぼすわけではないものの、他の星との位置関係によっては、私たちに様々な困難や課題を突きつけることがあります。代表的な凶星としては、土星、火星、天王星、海王星、冥王星が挙げられます。

土星は、制限や試練、責任などを象徴する星です。土星の影響が強い時、私たちは、厳しい現実と向き合わなければならなくなったり、忍耐強く努力を重ねる必要性に迫られたりするでしょう。火星は、情熱や行動力、怒りを象徴する星です。火星の影響が強すぎると、衝動的な行動に走ったり、争いごとを引き起こしやすくなる可能性があります。天王星は、変化や改革、革命を象徴する星です。天王星の影響が強い時期は、私たちの生活に突然の変化が訪れたり、予期せぬ出来事が起こりやすくなります。海王星は、夢や理想、幻想、混乱を象徴する星です。海王星の影響を受けると、現実逃避に陥ったり、物事を曖昧に捉えやすくなるかもしれません。冥王星は、破壊と再生、変容、極限を象徴する星です。冥王星の影響は、根本的な変化や深い変容をもたらす力を持つとされています。

これらの凶星が、他の星と特定の角度を形成することを「アスペクト」と呼びます。例えば、金星と土星が重なる角度（０度）で位置することを「コンジャンクション」と言います。金星が愛情や喜びを象徴する一方、土星は制限を表すため、金星と土星のコンジャンクションは、恋愛において困難や抑制を感じやすい配置と解釈されます。また、水星と海王星が９０度の角度を形成する「スクエア」と呼ばれる配置の場合、水星の表す思考やコミュニケーションに、海王星の曖昧さが影響し、思考が混乱したり、騙されやすい傾向が生じると考えられています。

しかし、凶星の影響は必ずしも悪いものばかりではありません。試練や困難を通じて、私たちは大きく成長することができます。凶星からのメッセージをしっかりと受け止め、自分自身と向き合うことで、より強靭で豊かな人生を築いていくことができるでしょう。

感受点との関連

{感受点、つまりホロスコープ上の特定の度数は、天体と同じように他の天体の影響を受けやすいと考えられています}。特に、ハウスとハウスの境目であるハウスカスプは、人生における様々な分野を示す重要なポイントであり、感受点の一つです。生まれた時にハウスカスプ付近に天体が位置する場合、そのハウスが象徴する事柄に、その天体の性質が強く影響を与えるとされています。

感受点は、天体からの良い影響も悪い影響も受けやすい場所です。例えば、幸運の星と言われる木星が感受点に良い角度を取っていれば、その感受点が示す人生の領域で幸運や発展が期待できるでしょう。反対に、試練や困難を象徴する土星などから悪い角度で影響を受けていると、その領域で苦労や障害に直面しやすくなると考えられます。

ハウスカスプへの影響を判断する上で、正確な出生時刻は非常に重要です。出生時刻が数分ずれるだけで、ハウスカスプの度数が変わり、感受点への影響も大きく変化する可能性があります。そのため、出生時刻が不明確な場合は、感受点への影響を読み解く際には注意が必要です。出生時刻がわからない場合は、太陽星座や月星座といった基本的な要素を中心に占うことが推奨されます。

感受点に良い影響を与える天体があれば、その力を活かすよう意識的に行動することで、より幸運を引き寄せられるかもしれません。逆に、悪い影響がある場合は、その天体が象徴する困難に前もって備えておくことで、被害を最小限に抑えられる可能性があります。感受点は人生の羅針盤のような役割を果たしてくれるため、占星術を活用して、より良い人生を切り開く一助としてください。

克服への道

星からの試練は、一見すると困難や苦しみをもたらすように感じられるかもしれません。ですが、占星術では、これらの試練は、私たちが魂を磨き、成長するための貴重な贈り物だと考えます。「傷ついた星」と呼ばれる、困難な配置にある惑星は、確かに生きづらさや葛藤を生み出す可能性があります。しかし、これらの困難は、私たちの内なる強さを引き出し、真の potential を開花させるための触媒となるのです。

例えば、思考やコミュニケーションを司る水星が困難な配置にある人は、言葉による行き違いや誤解を経験しやすい傾向があります。しかし、この試練を通して、言葉の重みやコミュニケーションの大切さを深く学び、より丁寧で思いやりのある表現を身につけることができます。結果として、周囲の人々との関係性をより深め、信頼を築くことができるようになるでしょう。

また、愛と美を象徴する金星が困難な配置にある人は、人間関係、特に恋愛において、様々な試練に直面するかもしれません。相手との価値観の違いや感情のすれ違いなど、心を痛める経験をすることもあるでしょう。しかし、これらの経験を通して、相手を深く理解し、尊重することを学びます。真の愛とは何か、そして自分にとって本当に大切なものは何かを見極める力を養うことができるのです。

このように、「傷ついた星」は、私たちが人生の課題を乗り越え、魂を成長させるための、かけがえのない学びの機会を与えてくれるのです。試練を乗り越えたとき、私たちはより強く、優しく、そして輝く存在へと生まれ変わることができるでしょう。