伝統的占星術

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アスペクト

困難を示すアフリクション

天体の配置を読み解く占星術では、星々の持つ力が複雑に絡み合い、私たちの運命に影響を与えていると考えられています。星同士のつながりを示す角度をアスペクトと呼びますが、その中には調和的なものと、不調和なもの、すなわちアフリクションがあります。アフリクションとは、天体が困難な角度にあることで、その星の力が十分に発揮できなかったり、ネガティブな影響を受けたりする状態を指します。星々はそれぞれ異なる性質を持っています。例えば、金星は愛と美、喜びを象徴し、火星は行動力や情熱を表します。太陽は生命力や自己表現、月は感情や心の内側を表すなど様々です。これらの星々が、特定の角度で結びつく時、互いの力を強め合ったり、打ち消し合ったりするのです。アフリクションは、一般的に試練や困難といった、乗り越えるべき課題を示すとされています。特に、土星、火星、天王星、海王星、冥王星といった星々は、それぞれ制限や衝動、変化、混乱、極端な状況などを象徴するため、これらの星が他の星と不調和な角度を作る時、アフリクションとして解釈されることが多いです。例えば、金星と土星のアフリクションは、愛情表現が苦手、人間関係における困難、経済的な不安定さなどを示唆するかもしれません。火星と天王星のアフリクションは、衝動的な行動や予期せぬ事故、人間関係の突然の変化などを暗示する可能性があります。しかし、アフリクションは必ずしも悪いことばかりではありません。困難を乗り越える過程で、私たちは大きく成長し、精神的に成熟することができます。試練を経験することで、忍耐力や精神的な強さを身につけることができるのです。アフリクションは、困難や課題を成長の糧に変えるチャンスを示唆しているとも言えるでしょう。自分の星図にアフリクションがある場合は、恐れずにその意味を読み解き、自己成長の機会として捉えることが大切です。
記号

衰退する星座の概念

星々の配置から人の運命や性格を読み解こうとする占星術は、長い歴史の中で様々な解釈を生み出してきました。中でも、特定の星座を「弱い」とみなす見方は、古くから存在していました。その代表的な例として挙げられるのが、かに座、やぎ座、うお座です。かに座は水の星座に属し、感情の起伏が激しく、周りの影響を受けやすいとされています。まるで海辺の砂のように、波が来れば流され、形を変えてしまう様子に例えられます。古代の占星術師たちは、このような性質を持つかに座生まれの人々は、心の揺れ動きに翻弄されやすく、確固たる意志を保つのが難しいと考えていました。やぎ座は地の星座であり、堅実で努力家というイメージが強い一方、物事を悲観的に捉えやすい一面も持っているとされていました。大地に深く根を張る樹木のように、一度悪い方向へ考えが向くと、なかなか抜け出せない様子に例えられます。そのため、困難に直面した際に、くじけやすく、諦めてしまう傾向があると解釈されていました。うお座も水の星座に属し、感受性が豊かで、夢想的な性質を持っています。まるで深い海の底を漂う魚のように、現実世界から離れ、空想の世界に没頭しやすいとされていました。古代の占星術師たちは、このようなうお座生まれの人々は、現実逃避に走りやすく、地に足をつけて生きるのが難しいと考えていました。現代社会では、これらの星座を「弱い」と決めつける見方は、偏っていると言えます。それぞれの星座には、良い面も悪い面もあり、人の性格は星座だけで決まるものではありません。しかし、古代の人々がそれぞれの星座にどのようなイメージを持ち、どう解釈していたのかを知ることは、占星術の歴史を理解する上で重要な意味を持ちます。
惑星

土星:最大の凶星?

夜空に輝く星々の中でも、土星は古来より畏敬の念と同時に、どこか恐れを抱かせる存在として知られてきました。土星は、試練や制限、困難を象徴する星とされてきたからです。人々はその運行の遅さから、土星を「凶星」として捉え、人生に苦難をもたらすものと恐れてきたのです。土星は約29年の歳月をかけて太陽の周りを一周し、一つの星座にはおよそ2年半もの間滞在します。このゆっくりとした運行ゆえに、土星の及ぼす影響は長期にわたり、人生における様々な局面で試練や課題を与え、私たちを成長へと導くと考えられています。まるで人生の厳しい教師のように、土星は私たちに忍耐と努力、そして責任の重圧を与え、精神的な成熟を促すのです。土星がもたらす試練は、時に困難で苦しいものかもしれません。しかし、これらの試練を乗り越える過程でこそ、真の成長が得られるのです。困難に立ち向かい、努力を積み重ね、責任を果たしていく中で、私たちは精神的に大きく成長し、揺るぎない強さを身につけていきます。そして、試練を乗り越えた先に待つのは、大きな達成感と精神的な成熟という、土星からの贈り物です。それは、苦難を経験した者だけが味わえる、かけがえのない喜びと言えるでしょう。土星は私たちに試練を与える一方で、それを乗り越えるための力も与えてくれているのです。困難を恐れず、土星からの教えを受け入れることで、私たちはより豊かな人生を歩むことができるでしょう。
惑星

幸運の星、木星:グレートベネフィック

夜空に輝く星々の中で、ひときわ明るい輝きを放つ星があります。それは木星、西洋占星術において「最大の吉星」と称えられ、古来より人々から崇敬されてきた星です。木星は、まるで豊かな恵みをもたらす神様のように、私たちの人生に幸運と発展をもたらすと信じられています。木星が司るのは、発展と拡大です。それは、経済的な豊かさだけでなく、精神的な成長、知識の探求、人間関係の広がりなど、人生におけるあらゆる可能性の開花を意味します。木星の影響を受ける時、私たちはまるで追い風を受けている帆船のように、スムーズに目標へと進んでいくことができるでしょう。新しい学びに挑戦したり、未知の世界へ冒険に出かけたり、人との出会いを大切にすることで、木星の恵みを存分に享受できるはずです。また、木星は楽観性と寛大さも象徴しています。木星の影響下にある人は、物事を前向きに捉え、どんな困難にも屈することなく、希望に満ちた未来を信じることができます。そして、その温かい心は周囲の人々にも伝わり、信頼と尊敬を集めることでしょう。木星の運行周期は約12年です。それぞれの星座に約一年ずつ滞在し、私たちに様々な成長の機会を与えてくれます。木星が自分の星座に滞在する時期は、特別な幸運期と言えます。ぜひ夜空を見上げて、希望の光を放つ木星を探してみてください。その輝きを目にすれば、きっと明るい未来への確信が得られるはずです。
技法

傷ついた度数:占星術の謎

人はこの世に生まれた瞬間、空に輝く星々の配置が一人ひとりの運命を描き出す地図となります。この地図、つまり出生図において、星々が位置する場所をさらに細かく示すのが度数です。黄道と呼ばれる太陽の通り道は360の区切りに分けられており、それぞれの度数には意味と象徴が込められています。度数は、星々が持つ本来の力をさらに具体的に表現する、言わば星々のささやきのようなものと言えるでしょう。例えば、勇気と行動力を象徴する火星が、情熱的なエネルギーを持つ五度に位置する場合、その人は強い意志と行動力で周りを惹きつけるカリスマ性を持ち合わせていると解釈できます。反対に、同じ火星が、穏やかさを象徴する十五度に位置する場合、その人は内に秘めた情熱をじっくりと温め、着実に目標を達成していくタイプだと考えられます。このように、同じ惑星であっても、度数が変わることでその人の性質や運命は大きく変化するのです。度数は、星々の力をより精密に読み解くための重要な鍵となります。太陽や月、火星や金星といった惑星がどの星座の何番目の度数に位置しているかによって、その人の性格や才能、人生における課題や可能性などが詳細に浮かび上がってきます。例えば、コミュニケーションを司る水星が、知性を象徴する度数に位置する人は、明晰な頭脳と優れた表現力で周囲を魅了するでしょう。また、愛と美を象徴する金星が、調和を象徴する度数に位置する人は、穏やかな雰囲気と社交性で多くの人から愛されるでしょう。このように、度数の意味を知ることで、自分自身や周りの人々をより深く理解し、より良い人生を歩むための指針を得ることができます。度数は、星々が私たちに語りかける秘密の言葉と言えるでしょう。その言葉を紐解くことで、私たちは運命の扉を開き、より豊かで彩り豊かな人生を創造していくことができるのです。
星の位置

品位:惑星の真価

星々の配置を読み解く占星術において、惑星の持つ力は一定ではありません。惑星の持つ力の強弱を表すのが「品位」という考え方です。それぞれの惑星は特定の星座と深い関わりを持ち、その結びつきの強さによって、惑星の力がどの程度発揮されるかが変わってきます。これは、人が得意な場所で力を発揮しやすいのと同じです。品位には五段階の区分があり、最も強いものから順に、支配、高揚、三分、境界、相貌と呼ばれています。それぞれの段階で、惑星が発揮する力の大きさが異なってきます。「支配」は、惑星にとって最も居心地の良い場所で、王が自分の国にいるように、その力は最大限に発揮されます。例えば、牡羊座は火星が支配する星座であり、火星は牡羊座で最も強い力を発揮します。次に「高揚」は、惑星が力を発揮しやすい状態を表し、まるで舞台役者が観客の喝采を浴びて実力を存分に発揮するようなものです。「三分」は、惑星が比較的に安定した力を発揮できる状態です。自分の家ほどではないにしても、親戚の家にいるような安心感があり、程よく力を発揮できます。「境界」と「相貌」は、惑星の力が弱まっている状態を表します。境界は、他人の家に居候しているような状態で、力を発揮しにくく、相貌は、通りすがりの場所に一時的に滞在しているようなもので、ほとんど力を発揮できません。このように、品位は、惑星の状態を理解するための重要な要素です。それぞれの惑星の品位を理解することで、より深く星々のメッセージを読み解き、未来への指針を得ることができるのです。
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