記号 カーマ:欲望と占星術
愛の神カーマは、古代インドの言葉であるサンスクリット語で愛を意味し、ヒンドゥー教における愛の神として崇められています。よく似た言葉に運命を意味するカルマがありますが、これとは全く異なる概念です。カーマは、人が生まれながらに持つ喜びや楽しみ、欲望といった心の動きを神格化した存在であり、人生における重要な目的の一つと考えられています。古代インドの人々は、人生の目的を4つに分類しました。正しい行いや義務を表すダルマ、物質的な豊かさを表すアルタ、そして最終的な魂の解放であるモークシャ。カーマはこれらと並んで人生の重要な柱の一つとされています。カーマは単なる性愛の象徴ではなく、生きる喜びや創造のエネルギーを司る神でもあります。芸術や音楽、踊りなど、人間の創造的な活動全てはカーマの力によって生み出されると考えられています。しかし、カーマの情熱は時に制御を失い、怒りや貪欲、妄想、傲慢、嫉妬といった他の情熱に変化することがあります。これらの情熱は、それぞれクローダ、ローダ、モハ、マダ、マツァラと呼ばれ、人間の心の内に潜む様々な感情を表しています。カーマを理解することは、これらの情熱を制御し、バランスのとれた人生を送るための鍵となります。自分自身の内面にあるカーマの力と、それに付随する様々な情熱を理解することで、より豊かな人生を創造することができるでしょう。
